基本方針

2024年度 理事長 水江 大地

Well Being

~未来は必ず良くなる~

はじめに

 1951年「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という覚悟のもと、日本青年会議所が設立されました。当時、日本がJCIに加盟するにはすでに加盟しているNOM(National Organization Member)からの紹介が必要であり、当時のJCI会頭である、JCIフィリピンのラモン・ロザリオ会頭は次のように語りました。「JCには国境も民族もない。それは、全世界の青年のものである。その誇りにおいて、我々は今ここに、かつての敵国日本のJC代表団を、心からなる歓迎をもって迎えようとする。」これによって、日本はJCIに正式に加盟しました。そこから、日本各地にLOM(Local Organization Member)が誕生し、各地で「明るい豊かな社会の実現」という目的に向かって、青年たちが活動を行ってきました。
 そして、1971年、若狭地域に491番目のLOMとして小浜青年会議所が発足しました。そこから「白い砂浜運動」や「若狭にひかりを」、「町屋deフェスタ」、継続事業となっている「新順造館」など数多くの運動を行い、明るい豊かな社会の実現に向けて活動を行ってきました。いつの時代も、まちを良くしたいと願う純粋な気持ちがこのまちをつくっていく原動力となってきました。我々が率先してまちの未来を想像し、行動に移すことで、明るい豊かな未来を創造していきましょう。

北陸新幹線が開業するということ

 先輩諸兄姉がまちの未来を思い、数多く行った運動の中に「若狭にひかりを」運動があります。そこから始まった北陸新幹線の誘致、そして、敦賀開業がついに2024年3月16日に決定し、福井県内各地では北陸新幹線開業に向けて機運が高まっています。しかし、敦賀以西のルートについては不透明な状況が続き、小浜京都ルートの開通に向けて今一度、我々が声を上げる必要があります。当時の先輩はこう言われたそうです。「高速道路は放っておいてもできるが、新幹線は声を上げなければくることはない。」今まさに、当時と同じ様な状況になりつつあるのではないのでしょうか。今後、人口が減少していく中で、本当に北陸新幹線は必要なのか。多くの課題が残る小浜京都ルートではなく、米原に接続したほうが経済的にもよいのではないか。この若狭地域からも、そのような声が出始めています。しかし、北陸新幹線は日本海国土軸強化という観点からも、この若狭地域が将来的に新幹線の恩恵を十分に受けるためにも、必ず京都、大阪に直結させる必要があります。今一度、北陸新幹線早期全線開通に向けて我々から声をあげていきましょう。
 一方、今回の北陸新幹線敦賀開業はこの若狭地域にも大きなチャンスとなります。関東圏からの観光客や外国人観光客は増加するはずです。その時に、外国人観光客の受け入れや、敦賀駅からの二次交通、観光案内などの準備ができているのかが重要になってきます。この機会をチャンスとして捉え、変化に対応できるまちづくりを目指しましょう。北陸新幹線全線早期実現を訴えるともに、敦賀開業を見据えたまちづくりの両方を並行して進めていくことが若狭地域に住む我々の使命です。

まちの未来を考えるということ

 まちは誰がつくっていますか。そう問われてあなたは何と答えますか。私はまちに住み暮らす子どもたちがつくっていると答えます。実際に子どもたちがまちをつくっているというわけではなく、子どもたちの将来を想う人の気持ちがまちづくりに大きな影響を与えていると考えています。しかし、その子どもたちが将来、このまちには住まないという選択をしたら、どうなるでしょうか。
 我々の活動エリアの一部である、小浜市には現在、約28,000人が住んでいます。しかし、2045年には20,000人を下回る予測となっています。その原因の一部として、若者がこのまちに帰ってこないということが挙げられます。小浜市では、1999年以降、2019年を除いて、転出者の数が転入者を上回っている状態となっています。ではなぜ、若者はこのまちに帰ってこないのでしょうか。慶応義塾大学特任准教授の若新氏はあるフォーラムの中で次のように語られていました。「人は常に役割を求めている。それは、家庭や仕事、各コミュニティーにおいて共通である。そして、若者が戻ってくる割合が高い地域の特徴として、子どもたちがまちの祭りや事業に参加ではなく、参画していた経験をしている、という検証結果が出ている。」と、いうことを言われていました。これからの若狭地域をつくっていくためには、Uターンの若者を増やしていく必要があります。そのためには、子どもたちが主体的にまちづくりやまちの行事に関わり、地域の大人たちとの交流体験を通して、子どもたちの地域愛を育んでいく必要があります。我々の世代が積極的に子どもたちと交流し、ともに活動する機会を増やして、将来、この若狭地域を担っていく人財を育てていきましょう。
 一方、親の世代にも課題はあります。特に子どもたちが県外の大学に行き、就職を考えた時にこの地域の大人たちは口癖のように次の言葉を言います。「こっちに帰ってきても就職先は無いよ。お前の好きなようにしたら良い。」実際は働くところは数多くあり、人員不足の企業が多く存在するにも関わらず、このように言います。この言葉の背景にはある深刻な問題があります。それは、親世代が若狭地域の未来について、無関心になっているということです。これでは、子どもたちは地元に戻ってきたいと思っていても、戻ることができなくなります。子どもたちが地元に戻りたいという気持ちを醸成するとともに、親世代の意識もともに変えていきましょう。

青年会議所(JC)に所属するということ

 JCで得られる最大の成果はなにか。と、問われたら、私はネットワークだと迷わず答えます。まずは、JC活動をともにすることで得られるメンバーとのつながりがあります。ともに事業構築をしていく中で、多くの時間を過ごすことになります。時にはぶつかり合うこともあるでしょう。仕事やお金を抜きにしてこれほど真剣に議論できるような環境はJC以外にありません。それだけ、みんなが真剣に事業に向き合っているということです。相手の意見が違うのは当たり前です。本気で語り合える場所を大切にしていきましょう。
 次に、事業を行うために協働した他団体や行政とのつながりです。JCでは事業を構築していく中で、協働してくれるパートナーを見つけることが重要になります。我々だけでは実現が難しいことも、パートナーを見つけることでより効果的に事業を行っていくことができます。また、JCは単年度制で継続事業というものは基本的にはありません。パートナーをつくることで、最終的にその事業を外部団体に移管することが可能になります。JCの役割は直接問題を解決することではありません。市民が自ら問題を解決していけるようにすることがJCの目的です。例えば、目の前におなかを空かした子どもがいたら、あなたはどうしますか。JCでは、その子どもにご飯を与えるのではなく、釣竿の作り方、釣りの仕方を教えて、子どもが自ら食料を調達できるようにして、自分が子どもの前から立ち去っても、その子どもが生きていけるようにするという考え方をします。積極的に他団体を巻き込み、持続的にこのまちにインパクトを与え続けることができるような事業を行っていきましょう。
 最後に、事業に参加してくれる市民とのつながりです。多くの市民を巻き込むことは我々の事業のインパクトを最大化するとともに、一緒に活動できる同志を見つけるきっかけになります。我々の事業に賛同してくれる人を増やしながら、運動を広げていき、みんなでつながりの輪を広げていきましょう。
 これらJC活動でできたネットワークが今後の自分たちの社業及び人生を豊かにしてくれます。ある先輩に言われました。「人の時間は有限である。だから、人のために自分の時間を使うことで、将来、自分が困った時には必ずその人は自分のために時間を使ってくれるようになる。そして、多くの人に時間を使えば、その分、多くの時間を使ってもらえるようになる。」JCには多くの出会いの機会があります。その機会をつかみ取るのも見過ごすのも自分次第です。ともに多くのネットワークを各地でつくりましょう。

これからの青年会議所について

 2018年度末には全国に35,000名いた会員も2023年度末では約28,000名程度になる予測となり、この5年間だけでも約7,000名減少しています。この背景には少子高齢化、人口減少、インターネットやSNSの普及による人間関係や仕事の仕方の変化など様々な要因があります。これは、JCI若狭でも同様の傾向であり、最盛期では80名以上のメンバーが在籍していましたが、私が入会した2017年当時は会員数が10数名まで減少し、現在でも20名強であり、これから毎年4名程度が卒業を迎えます。このままいけば数年後にはJCI若狭は消滅してしまう可能性もあります。では、これからのJCI若狭はどのようにしていくべきでしょうか。現在のJCI若狭の会員拡大は現役会員の力のみに頼ってしまっています。そこで、まずはOB会員を巻き込みましょう。JCの良いところも悪いところもすべて知っているのはOB会員です。今までJCを活用してきた人の言葉には説得力があります。また、我々には無いつながりを持っています。OB会員との関係性を再構築し、OB会員を巻き込んだ会員拡大の仕組みづくりをしていきましょう。そして、会員拡大にかかる負担を少なくしていき、本来我々が行うべき各種事業に多くの力を注げるようにしてきましょう。
 また、55周年という節目を利用して、今一度、会の在り方を見直す必要があります。会議の時間や場所、回数、家族の例会への参加など、多くのメンバーが参加しやすいように変えられるところは変えていきましょう。その時に、変えることによる明確な効果と目的を意識することが重要です。今の時代にあったJCI若狭をともに模索していきましょう。

最後に

 ひとは、ひとでしか磨かれません。多くのひとと出会い、様々な経験をするなかで感じたこと、学んだことを自らの糧として、自分という器を大きくしていきましょう。器が大きくなれば、それだけ自分に余裕ができ、ひとやまちのことを考えて行動できるようになります。そして、まちのことを考えることができるひとが増えれば、この若狭はより明るい豊かな社会に近づいていくことでしょう。

是非の初心忘るべからず
時々の初心忘るべからず
老後の初心忘るべからず

 これは室町時代に現代の能楽の源流となる申楽を大成した世阿弥が残した言葉です。この言葉には、自分の判断基準になる物事を始めた時の未熟さを忘れるべきでないという意味と、修行をする中でそれぞれの時期における初心の段階を忘れるべきでない、という意味。そして、年を取ったからといって終わりではなく、老年になってからも初めてのことがあるので、初心を持って芸を極めるべきであるという意味があります。
 我々はJC活動を通して多くのことを経験していきます。例えば、初めて例会に参加した時。初めて役職を受けて委員長方針を考えている時。そして、初めて議案を上程し、多くの意見や質問が来てどうしていいかわからくなった時。例会を無事にやり遂げた時。一年間、役職を全うした時。全国各地のメンバーと交流した時。その時々で必ず考えや心境の変化があります。そのどれもが正解である反面、不正解でもあります。理事会などで多くの答弁をしていくと当初の想いから外れていく時があります。当初の想いを貫くことも重要ですが、その時々に合わせて対応できる柔軟な思考を養っていきましょう。また、道に迷った時には、この事業を通して、誰が、どのようになってほしいのか。このことを再度見つめなおしてください。そして、JCに振り回されるのではなく、JCをツールとして利用し、ともに40歳までの貴重な時間の中に多くの経験をしていきましょう。

Well Being 未来は必ず良くなる。
そう信じて、ともに活動をしていきましょう。

運営方針

 「ネットワーク創造委員会」、「未来創造委員会」、「若狭のまち創造委員会」、「総務局」の1局3委員会を設置し運営していきます。また、55周年準備委員会の独立した委員会を設置し、会員一丸となって55周年に向けて活動していきます。

「ネットワーク創造委員会」

 ネットワークをキーワードとして、メンバーの資質向上に寄与するとともに、JC活動への参加意欲が向上する事業を行います。そして、会員同士ならびにOB会員とのつながりを強くするとともに、ともにJCI若狭で活動してくれる人たちとのつながりを広げていきます。また、副理事長が筆頭になり、第51回卒業式を開催し、卒業生を盛大に送り出します。

「未来創造委員会」

 未来をキーワードとして、子どもたちがまちに対して主体的に考え、自ら行動できる主体性を育てる事業を行います。そして、若狭の未来をつくっていく人財を育てていきます。

「若狭のまち創造委員会」

 新幹線をキーワードとして、これからのまちづくりについて広く市民を巻き込んだ事業を行います。また、「ひとづくりこそ くにづくり」の理念のもと、第49回新順造館を行います。

「総務局」

思いやりをキーワードとして、JCI若狭の組織管理、運営を行うとともに、会全体の活動が円滑に進むようにサポートします。また、ブロック協議会、地区協議会、本会の各種事業、大会などの案内を行うとともに、メンバーの参加を促します。そして、理事会、総会の運営を担当します。さらに、HP、Facebookの管理を行い、JCI若狭の活動を広く対外に向けて発信をしていきます。

「55周年準備委員会」

誇りをキーワードとして、2025年に迎える創立55周年に向けて、今一度、青年会議所の意義や在り方を模索するとともに、55周年記念式典祝賀会の準備を行っていきます。

「姉妹JCとの交流について」

姉妹JCであるJCI豊岡との連絡調整は専務理事を筆頭に三役を窓口として行っていきます。また、年間を通して、適宜、交流を行っていきます。

副理事長は3名とし、理事長を補佐し、会全体と担当委員会の円滑な運営を促しながら副理事長同士の連携を図り、担当委員長の良き相談役として努めます。また、新たな事業については理事会等で協議しながら検討し決定します。